「ペコロスの唄」ドタバタ制作日誌
(せらっちのメール・タッキーペリンの日記を元にペコロスまとめる)
2003/9/11
 「ワインバー田舎」でのライブの後の酒の席で、田中のふと、「岡野さんのCDを作ってみたい」ポツリと言ったひとことに、大瀬良、岡野がピクピクッと反応。その場で、ペコロスこと岡野のソロアルバムの話はたちまち進み、プロデュースはせらっちこと大瀬良。エンジニアはタッキーペリンこと田中で決定。とりあえず、蝉の鳴き声を「SE」に使いたい。次の日は台風がやってくる予定で、蝉はいなくなる。これを逃すと1年待たねばならない。それぞれの家の近郊で録ってみようということになり解散。岡野は引き続き飲む。

9/12
 昼前から出陣。田中は長崎市船石町の山の中へ。台風はまだ来てない。なんとか、いかにも夏の終わりの蝉という感じの音が録れた。大瀬良は時津町の山の中へ。こちらもいいのが録れたという事で、3人「アトミックス」の2階に集合。壁に並ぶたくさんのCDをよそに、3人ヘッドフォンで蝉の音を聴き続ける。結果、SEとしてOK。収録曲とレコーディングの進め方を煮詰める。

9/15
 さっそく岡野のレコーディングを、開店前の田舎で。夜の金森幸介氏のライブのためのセッティングの合間に、サウンドチェックがてらレコーディング。大瀬良は都合で欠席。岡野、そのまま飲みはまる。しかしこの日のテイクは全く日の目を見ず。

9月15日バージョン

たまゆら

ピンカートンネイビー

月見茶屋
9/17
 大瀬良「ポケベルとコンドーム」のアレンジ・打ち込みを開始。

9/18
 田中・大瀬良が、打ち込みデータのやり取りを行うために、大瀬良と同じモノを持っている岡野の、猫に小判状態の「QY70」を田中が借りることに。岡野が、夜、珍しくシラフで田中の仕事場まで持って来る。

9/23
 打ち込みデータを大瀬良と田中はあーだこーだ言いながらやり取り。ようやく、何とかなりそうになってきた。

9/28
 大瀬良「ポケベル〜」のBメロのコードの一部変更とエンディングの小節の縮小。

9/30
 田中「ポケベル〜」のデータを受け取り、リズム音源の差し替え。この音の方向性がプロデューサー大瀬良の見解と合わず、3人で視聴会をすることに。
9月30日バージョン

ポケベルとコンドーム
10/1〜2
 田中、引き続き打ち込み作業。

10/3
 打ち込みデータの視聴会を3人、時津の「ジョイフル」で。橋氏(ハッシッシと読む)の職場の原野さんにヴァイオリンを頼もうということになり、橋氏捜索のため「田舎」へ電話。「田舎」でも橋氏・吉田氏を探してるとのこと。吉田氏の新妻が産気づいたというのに二人はどこで飲んどる。しかし出産は無事。めでたしめでたし。

10/4
 大瀬良「たまゆら」のアレンジ・打ち込みを開始。

10/5〜6
 田中「たまゆら」のデータを受け取り、打ち込み作業・ヴァイオリンパートのアレンジ。
10月5日バージョン

たまゆら大瀬良の打ち込みデータに無理やり9月15日の岡野のボーカルを切り貼りしたもの。
歌の入る位置がぜんぜん違う。ヴァイオリンのアレンジはパソコンソフトによるもの。
10/9
 田舎ライブの最中、デモテープ聴きながら打ち合わせ。ヴァイオリンパートの譜面、岡野の手に(岡野が弾くわけじゃない。岡野より原野さんへ)。

10/14
 田中、引き続き打ち込み作業。「ポケベル〜」のリズムに、大瀬良のギターのノリを元にしたグルーヴクオンタイズをかけてみる。だいぶ生っぽくなってきた。タイミングのズレたドラムがイイ感じ。
10月9日バージョン
たまゆら大瀬良の仮歌、ヴァイオリンは田中のアレンジ後、シンセの音。
10月13日バージョン
ポケベルとコンドーム大瀬良の仮歌、リズムはクオンタイズガチガチのジャストのノリ。
10月14日バージョン
ポケベルとコンドームグルーヴクオンタイズ後。
10/16
 大瀬良「途方に暮れるクーニャン」のアレンジ・打ち込みを開始。

10/17
 田中、夜からレコーディング用の機材を車に積み込む。パソコンはネットで連絡のやり取りがあるかもしれないので、翌朝にする。

10/18
 いよいよ時津の「カナリーホール」練習室3にてレコーディング初日。田中、朝からパソコン他ありったけの機材を車に積み込みカナリーホールに到着。セッティングの開始。11時頃、ヴァイオリンの原野さん到着。やはり本物の音は違う。12時頃、録音の盛り上げ役の橋氏・小島氏到着。勇気百倍。14時頃、ギターの吉田氏到着。軽々とギターを弾いてもらう。そして岡野の歌入れ。とりあえず2曲は録れた。待機していてくれた橋氏の出番まで音作り出来ないまま時間が来てしまいバタバタとカタヅケ。田中はカナリーホールの備品まで持ち帰ってしまった。そうとは気付かず、早速パソコンをセッティングして、その日の録音を聴こうとしてたら大瀬良から電話。カナリーホールのシンセの電源ケーブルを持って帰ってしまったらしい。そしてまた時津まで。

10/19
 「ポケベル〜」と「たまゆら」仮ミックス。岡野のボーカル、基本的に最後のテイクを元に、これはちょっと…というところを別のテイクと差し替え(後に録り直し)。「たまゆら」のMIDIデータはまだ仮のまま。後日エンディングのコンガとベースを大瀬良が打ち替える。同じくエンディングのヴァイオリンにはテンポに合わせてクオンタイズをかける(これもまた後にカット)。


10月19日バージョン
ポケベルとコンドーム吉田氏の12弦ギター、スパニッシュ風ギター入り。

たまゆら原野さんのヴァイオリン、本物の音。
10/20
 最低2本ずつ録っておいた「たまゆら」のヴァイオリンパート、せっかくなので全部使いたい。が、チャンネル数が足りなくなるので、今使っているオーディオボードと同じ物をオークションで探す。買ったときは10万くらいしたのだが、今は1万くらい。嬉しいやら悲しいやら、とりあえず入札。この2枚をカスケード接続すると、同時再生32オーディオトラック、外部入力とも合計48チャンネルのミキシングが可能となる。もう怖いものなしである。

10/23
 「田舎」定例ライブ。田中はこの日は仕事休みなので田舎ライブは最初から参加できそうだった。が、オークションのオーディオボードの終了時間が19時38分。落札を見届けて田舎に赴く。

11/3
 大瀬良「クーニャン」のデータを田中にメール。

11/4
 時津「おんがく館」でレコーディング。何曲か歌も録れたし、その場で曲を覚えて叩いてもらった「泣きべす」の岡本氏によるドラムも録れた(後に単音のみ利用)。さらに「たまゆら」のアコースティックギター、歌録り、思いつきで大瀬良、間奏のピアノをレコーディング。


11月4日バージョン
泣きべす大瀬良の仮歌・ギターと岡本氏のドラム。
11/7
 田中による「迷子の夏」の、曲の構成の分析結果を大瀬良にメール。「1回目のサビ後の『ツクツクウィッシュ…』は10小節で、その後口笛が入ってきます(8小節)。2回目のサビの後『誰も出ん』の『出ん』から1小節と2拍おいて『ツクツクウィッシュ…』が入ってきます(7小節)。その後『ウィーオーウィッシュ、ウィーオーウィッシュ、チィーーー』を3小節と2拍やって、エンディングのアルペジオ(Em−B7−Em−B7?)」

11/11
 田中が帰宅してHPをチェックしたら、大瀬良がペコロス企画の件であちこちのHPに「弱音スレ」を立てていた。田中も追随してそれに輪をかけた「弱虫レス」。それも「コピペ」で。クッ、これは僕らなりの効果的なプロモーション。しかし一部で物議を醸し出した。同日、大瀬良、自宅にて、娘・梨香子による「クーニャン」のコーラス録り。父として、厳しく駄目出しの連発。なんとか、OKテイクGET!
[573] 岡野プロジェクト 投稿者:セラッチ参上 投稿日:2003/11/11(Tue) 00:25

岡野祐一とゆう歌唄に関わっている。何とも奇妙な彼の曲の数々。
いざ譜面に起こしてみると、そこにもまた奇妙な音符の羅列と、様々に入れ替わる拍子の
オンパレードだ。ことに昔から天才とゆう言葉があるが、彼のそれも、何かしらその片鱗が見え隠れする。
長崎弁でつづられてゆくその奇妙さにある人は英語詩と聞き違えたり、またある人は、「あぁおっさんに何か在りがちなアプローチでんな」なんて角度で片付けてしまう。しかしながらその中に登場するキャラクターたちには、少しの愛嬌と大きな哀愁が満ち溢れ、地下鉄や高層ビルの存在しない長崎の町を舞台にドラマチックなヒューマンビーイングがかっちりと描かれている。ギター1本とその声だけで十分に体現できているその絶対的な世界観。
さてさて、私、大瀬良とタッキーぺリンはその化け物みたいな曲の数々を何とか形にしようと、ここ何ヶ月か奮闘している。形にするというのは、ここでは「より普遍的に」という意味合いだが、これは酷な話だ。何故なら、芸術とは「感性」と「知性」のせめぎ合いの賜物だからだ。自分自身で1から10までやるとなるとなんとなく「この辺で勘弁してやろう」的な結論のもとにその完成形をみることになるが、いかんせん他人の作品ともなれば、そうもいくまい。ましてや、彼の場合、彼を知る誰もに、「磨けば光るダイヤである」という認知が存在しているのだ。でも皆さん、私は最高のアプローチで彼のアルバムをリリースします。すでに満身創痍気味ですが、楽しみにしててください。

なんて書いて、マニフェストよろしく自分にプレッシャーを与える11月半ばナリ。

[573へのレス] Re: 岡野プロジェクト 投稿者:Tackypellin 投稿日:2003/11/12(Wed) 02:36

返信に困るような魂のこもった文章はやめていただきたい(笑)。
こんなおおごとになるとは、岡野さんにプレッシャーを与えるつもり?
録りが終わったら、ミックスは大変ですな、これは。
ある曲なんてすでに16トラック越えてるし・・・。

岡野さんの曲は歌とギター1本で十分完成されているけど、
音を増やしたおかげで台無しになったと言われないよう、
もうこれしかないというようなアレンジで完成させましょう。
それを聴いた岡野さんのスタイルを知る人の多くは、それほど驚くことはないでしょう。
全く違和感なく、岡野さんの歌とたくさんの助っ人ミュージシャンの演奏が
一体化しているはずだから。

なんて書いて、ほんとにやれるのか?乞うご期待。

11/14
 田中邸にて視聴会、というよりアレンジの手直し。「たまゆら」用の水滴の音をネットで探す。あっさり見つかる。ボチボチ完成形が見えてきた。

11/17
 大瀬良「クーニャン」のデータ打ち替え分を田中にメール。

11/18
 田中「クーニャン」の仮ミックスを大瀬良にメール。
11月18日バージョン
途方に暮れるクーニャンこの頃からプチプチノイズに悩まされる。
11/30
 大瀬良「泣きべす」のデータを田中にメール。

12/1
 「田舎」で他の常連と初の試聴会。「たまゆら」と「クーニャン」の仮ミックスを外部の人に初披露。賛否両論…。岡野、酔っぱげる。

12/4
 「カナリーホール」練習室3にて歌録り。「迷子の夏」のインスト残し、ほぼボーカルの録音を終了。後に、「泣きべす」は録り直しとなる。

12/7
 大瀬良・岡野、HDR、ギター、エフェクターなどを抱えて吉田氏の自宅へ押しかける。「泣きべす」のギターパートを吉田氏のフィーリングに任せ、録音。ついでに「ポケベル〜」のギターソロも録り直し。
テイクの出来にこだわる吉田氏。やはりミュージシャン気質。
11月30日バージョン
泣きべす大瀬良の仮歌。ドラム音源はソフトシンセの音。
12/8
 田中「泣きべす」のリズムを岡本氏のドラムから単音で抜いてサンプラーで組んでみる。かなり生っぽくなった。
12月8日バージョン
泣きべす大瀬良の仮歌。吉田氏のギター入り。ドラムをサンプラーで岡本氏の音と差し替えたもの。
12/13
 「迷子の夏」にオルガン使いたく、捜索。岡野、偶然、桜町小の音楽室に足踏みオルガン発見。
短い足で小躍り。

12/16
 岡野から二人にメール「年内に学校が引っ越しするので、オルガンの使用許可は微妙」(後にこの件はボツ)。カナリーホールでミックスダウン作業を行う予定の1月8日までには音が欲しい。大瀬良、友達の家にて足踏みオルガン発見。まさに灯台下暗し。2つ、出ない音があったので翌日修理に行く事を決心。とりあえず23日カナリーホールを押さえ「迷子の夏」のピアノパートを譜面に起こし、ピアニストの松尾かおるさんに渡すことに。

12/17
 大瀬良、夜勤明けで、オルガン修理に取り掛かる。約4時間を費やし、やっと原因を発見するも力尽きて帰宅。

12/22
 再び大瀬良、オルガンの修理。一日かけてほぼ全部品をばらし、トライするも結局音は鳴らなかった。足踏みオルガンの録音を断念する。

12/23
 13時より「カナリーホール」練習室2にて「迷子の夏」の松尾さんによるピアノの録音。キーボードでオルガン用MIDIデータも録音。そしてついに蝉の音をかぶせてみる事に。あまりのはまりように3人唸る。採用された蝉は9月12日、時津崎野自然公園の蝉君。午後1時16分のテイクであった。Good job!。帰りに1月8日から2日間通しで練習室の予約を取る。
音の出ないオルガン。
結局2004年5月解体することに


2004/1/8
 さていよいよラストスパート。ミックスダウンのため田中、大瀬良、「カナリーホール」練習室3に立てこもる。その最中、「ロコミュージック」のロゴを平井氏から藤城氏、藤城氏から大瀬良、大瀬良から田中のパソコンまでバケツリレー。仕事のため岡野が、夜勤明けのため大瀬良が早上がりし、独り田中が「泣きべす」のベースとオルガンを録音。普段楽器を弾かないので大いに苦労する。岡野、阿部氏より1月4日の田舎ライブにおける「インポテンツ・ナイト」(結局不採用)のCD-Rを受け取るついでに飲む。

1/9
 「田舎」よりモニター用スピーカーを持ち込む。大瀬良「クーニャン」のコーラス録り。ミキシングと同時進行でジャケの制作。途中、NBC長崎放送の馬渡さんが立ち寄る。酷使したせいかパソコンが音(ね)を上げ、トラックダウンは出来ず終いで解散。後は田中の自宅で続けることに。

1/10
 パソコンの不具合も何とかなり、夕方までにミックスを仕上げてCD-Rに焼き、「田舎ライブ」へ。梅さんと岡野のハッピーバースディライブ。そして3人それぞれCD-Rを持ち帰り、試聴。ダメ出しの嵐。15日にもう一度ミックスからやり直すことになる。

1/13
 田中、1日かかってジャケの制作。夜、岡野がどうしても使いたいという写真を持って来る。

1/14
 梅さんが「音楽時代屋」で「クーニャン」を流すということなので16日の収録日までに、何が起こっても完成させなければならなくなる。

1/15
 田中邸にてミックスのやり直し。イマイチ物足りなかった「クーニャン」のサビに大瀬良、ワウギターをかぶせる。そして、ミックスダウン、マスタリング。岡野よりジャケの変更分を受け取り、完成した音源のCD-Rを渡す。

1/16
 完成したと思ったら、やはり音が割れていたため、再マスタリング。夕方より大瀬良・田中、「音楽時代屋」の収録を見学に行く。ラジオ局(テレビ局)なんてめったに立ち入ることがないため二人キョロキョロ。まるで借りてきた猫。その後、CD-R100枚とジャケット用の用紙を買いに行く。

1/17〜1/31
 ひたすらCDの大量生産。身も心も疲れ果てる。

2/1
 かくして、「田舎」にて行われた岡野雄一・恵理子の結婚祝賀ライブに、ミニアルバム「ペコロスの唄」滑り込みで間に合う。おそらく。

      
3/7
 さらにオハナカフェにて、「ペコロスの唄」発表記念ライブ開催。
チケットのお求めは、長崎市、浜屋プレイガイド・弦洋会楽器店・サニーボーイ・オハナカフェ・ワインバー田舎にて。